ポケモンのおはなし。その２

昨日の話の続きから。

昨日書いたとおり、ポケモンはバグの多い。昔風に言うと裏技の多いゲームである。
個人的には初代ポケモンの楽しさの４０％はバグであると思う。

さて、このゲームは子供向けとは思えないほど奥が深く、納得のいく個体を得るためには、
数週間、種族によっては数ヶ月を要することもある。
加えて、現在では入手が非常に困難な種族もあり、データ領域の改変、
いわゆる改造が最も横行しているゲームでもあるといえる。
数ヶ月かかるものが、少々の出費と、多少の勉強(16進数の知識、正規に存在しうる範囲の認識など)によって短時間で手に入れることができるのだから、流行るのも当然と言える。
かくいう私も、金銀世代の際は、ＰＡＲを持っている友人から希望の個体をもらったりしたものである。

しかし、現状においてこの改造行為が小学生以下のユーザーにも浸透しているために、
質の非常に悪い個体が存在することも確かである。
ネタとして身内で使うならともかく、たとえば不思議の守りミカルゲや努力値の限界突破などは、そんなものを使って勝ったところでなにが楽しいのだろう、という感想を抱かざるを得ない。
ニコ動を見る限りにおいても、「ネタ」以外での改造に対しての風当たりは非常に強い。
それが、正規に存在しうる範囲であったとしても、疑わしければ叩くという徹底ぶりである。

個人的には正規範囲であれば、いかなる改造でも否定する理由はない。
しかし、それを2ch正規スレや、ＧＴＳ等で鮫トレード行為をすることはあまり好ましくないだろう。
改造によっていかなるポケモンも手に入れることができるなら以上、交換には手を出してほしくないのが現実である。
スレを使うにしても、ＧＴＳを使うにしても「自己責任」となっている現状はあまりに寂しすぎる気がする。

初代では暗黙の了解として受け入れられていたバグに関しても、前作や今作では「非正規」「増殖厨」として叩かれる場合が多い。
しかし、増殖バグを用いていてもそれを公開しない暗数はかなり多いと私は見ている。

私は、これらのバグはある意味で「仕様の範囲内」の挙動と判断している。
よって、私は増殖を止めるつもりはない。
しかし、それによって増殖を嫌悪する人に対して迷惑をかける場合が一点のみ存在する。
それが、正規とのレートの違いである。

増殖は、いかなるポケモンも生み出せる改造とは違い、交換によって利益が発生することが大いにある。
よって、増殖にも交換の場の需要は存在する。
しかし、その交換には、増殖という前提があるがゆえに、「レートが存在しない」。
お互いが「欲しい」と思えば、その場で交換は成立しかねない。
（実際に増殖スレにおいて、私は図鑑埋めのためにディアルガとキャタピーを交換したことがある。）
このような交換が正規スレに入り込んだ場合、交換レートが崩壊する。
ただその一点のみを危惧し、増殖スレを続けてきているが、もはや需要はなく、スレが落ちるのも風前のともしび、といったところである。

ただし、対戦においては、正規プレイと同じような個体入手経路をとる必要があるため、正規によって得られる個体との差は全くない。
しかし、技マシン等限定入手のものについては、回収プレイの時間の省略という意味で、改造と根本的な違いはないとも言える。

正規・増殖・改造の住み分けは確かに必要である。
しかし、現状を鑑みるに、正規と増殖は確実に混じり、（モラルのない）改造は２者の環境を脅かし続けている。
今すべきことは、完全な住み分けを考えることよりも、共存の道、ルールを考えることなのではないかと、マイノリティの増殖の立場からはそう思うのである。

正規プレイのみを信奉する者たちを揶揄して「潔癖厨」と呼ぶ人もいる。
正規の人が潔癖であるとは私は思わないが、こちらが「汚れている」わけではないこともまた、理解いただきたく思う。